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大阪地方裁判所 昭和48年(わ)2114号 判決 1973年11月26日

一、本店所在地

東大阪森河内東二丁目三番地

株式会社荒木製作所

代表者代表取締役

荒木一弘

二、本籍

律山市川崎六七九番地

住居

大阪市城東区鵬野東五丁目八五番地

株式会社荒木製作所代表取締役

荒木一弘

大正一四年一月三〇日生

右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官岡島嘉彦、弁護人田辺光夫各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社荒木製作所を罰金八五〇万円に、被告人荒木一弘を懲役一〇月に、それぞれ処する。

被告人荒木一弘に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社荒木製作所は、東大阪市森河内東二丁目三番地(昭和四六年一月九日以前は大阪市城東区鵬野東五丁目八五番地)に本店をおき、銑鉄鋳物製品の製造販売業を営むもの、被告人荒木一弘は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人荒木一弘は、同会社の業務に不況時の事業資金、公害対策費等を備蓄する目的で法人税を免れようと企て

第一、被告人株式会社荒木製作所の昭和四四年五月一日から同四五年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が七一七〇万七五一円で、これに対する法人税額が二四一三万二〇〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上架空の仕入を計上するとともに、決算に際し決算書類に利益を過少に計上するなどの行為により、右所得金額中四五八八万二二二三円を秘匿したうえ、同四五年六月三〇日大阪市城東区野江東之町一丁目四八番所在城東税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二五九一万八五二八円で、これに対する法人税額が八一四万六七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一五九八万五三〇〇円を免れ、

第二、被告人株式会社荒木製作所の昭和四五年五月一日から同四六年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が六四二二万八三一〇円で、これに対する法人税額が二二四五万八四〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中三六三三万七四五八円を秘匿したうえ、同四六年六月二九日東大阪市永和二丁目三番地所在東大阪税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二七八九万七五二円で、これに対する法人税額が九一二万一五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一三三三万六九〇〇円を免れ、

第三、被告人株式会社荒木製作所の昭和四六年五月一日から同四七年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が五九一二万三三三七円で、これに対する法人税額が二〇五八万六〇〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中三一五〇万六四四二円を秘匿したうえ。同四七年六月三〇日前記東大阪税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二七六一万六八九五円で、これに対する法人税額が九〇二万三六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一一五六万二四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示冒頭の事実につき、

一、収税官吏作成の被告人荒木一弘に対する昭和四八年一月二五日付質問てん末書

一、登記宮田一夫作成の法人登記簿謄本

判示第一ないし第三の各事実につき、

一、被告人荒木一弘の当公判延における供述および検察官に対する供述調書

一、収税官吏作成の被告人荒木一弘に対する質問てん末書七通

一、被告人荒木一弘作成および同人外一名作成の各確認書

一、収税官吏作成の荒木千栄子(一〇通)、杉山一彦(三通)、河野繁基(三通)、吉田正雄(三通)、河野房子(二通)馬頭大三および上畑拓男に対する各質問てん末書

一、荒木千栄子、杉山一彦、河野繁基、吉田正雄および上畑拓男の検察官に対する各供述調書

一、荒木千栄子(四通)、および杉山一彦(二通)各作成の各確認書

一、河野繁基、吉田正雄、馬頭大三および橋田哲雄作成の各供述書

一、収税官吏作成の査察官調査書類一綴

一、押収してある集計用紙記載の銀行別預金状況一覧表(昭和四八年押第七〇五号の四)

右のほか

判示第一の事実につき

一、収税官吏作成の金谷冴子に対する質問てん末書

一、河野弘文作成の供述書

一、東大阪税務署長認証の法人税申告書写(昭和四四年五月一日からの事業年度分)

一、押収してある仕入帳(昭和四四年)一綴(昭和四八年押第七〇五号の一)

判示第二の事実につき

一、河野弘文作成の供述書

一、東大阪税務署長認証の法人税申告書写(昭和四五年五月一日からの事業年度分)

一、押収してある仕入帳(昭和四五年)一綴(昭和四八年押第七〇五号の二)

判示第三の事実につき

一、東大阪税務署長認証の法人税申告書写(昭和四六年五月一日からの事業年度分)

一、押収してある仕入帳(昭和四七年四月期)一綴(昭和四八年押第七〇五号の三)、試算表一綴(同号の決算集計表一綴(同号の六)、昭和四七年四月期の貸借対照表、損益計算書一枚(同号の七)

(法令の適用)

被告人株式会社荒木製作所の判示各所為は、いずれも法人税法第一五九条第一項、第一六四条第一項に該当するが、以上は刑法第四五条前段の併合罪なので、同法第四八条第二項により各所定罰金額を合算した金額の範囲内で同被告人を罰金八五〇万円に処することとし、被告人荒木一弘の判示各所為はいずれも法人税法第一五九条第一項に該当するので、所定刑のうちいずれも懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪なので、同法第四七条本文、第一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をし、その刑期の範囲内で同被告人を懲役一〇月に処するが、同法第二五条第一項によりこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 堀内信明)

右は謄本である。

昭和四八年一二月一一日

大阪地方裁判所第一二刑事部四係

裁判所書記官 槌屋善久夫

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